福島フィールドワーク5日目
(3/11 雨のち曇り)
今日は震災から8年の日です。この日に被災地を訪れることができたことを噛みしめて今日も被災地の方々のお話を聞きました。
最初に農民連の佐々木さんにお話をうかがいました。放射能によって作物の収穫・出荷ができないことは「風評被害」ではなく「実害」であること、その上で太陽光発電による農地を使ったエネルギー生産を副業として進めていること、今でも東電と生業訴訟を続け戦い続けていることを教わりました。また、福島の農産物は競りで低いところからのスタートだということもお聞きしました。農産物が放射線をどのように取り込み、どうすれば放射線物質取り込みにくくするかの研究も進んでいるなかで未だに実害をうけていることが衝撃で「消費者だけでなく生産者も被害者」ということばが刺さりました。当時小学生だった自分は東日本大震災のイメージが「放射線が放出された」というものだけでした。今回のお話で農業者の方々の被害や東電との裁判、海外の考え等を吸収したエネルギー事業の展開などとても生の声を聴くことができて良かったと思っています。自分はまだまだ視野が狭くて受信できる情報が少ないな、とも感じました。
次に向かったのは放射線量を計測する認定NPOの30年プロジェクトの事務所です。
この団体は「市民による放射線量の測定」を掲げていました。原発事故の直後は線量計などがほとんどなかったため見えない不安と戦うために震災の半年後、設立されました。今回の原発事故によって検出されている放射性物質の多くはセシウム137という元素で、これは半減期(全体個数の半分にまで元素が崩壊し減少する期間)が30年だから30年福島を見守っていく、という意味を込めて30年プロジェクトという名前を付けたそうです。ここでは理事の方の震災体験、放射線対応の現状などの話を聞かせてくださいました。また、ここで貸し出しをしている線量機器の説明もしてくださいました。地表から10cm,50cm,100cmの空間線量をリアルタイムで測定できるホットスポットファインダーはお子さんの通学路や自宅の周辺で放射線が集中している箇所がないか確認できるそうです。他にも「もの」の線量を測定する検出器や「ひと」がどれだけ放射線同位体を保持しているかが測定できるホールボディカウンターなど普通は入手しにくいものがありました。携帯用ではない線量計を初めて見たのでとても興味深かったです。
そのあと、来んねキャンプで宮崎に来てくれた三家族と合流し環境分析研究所に向かいました。この会社は先ほど訪れた30年プロジェクトさんとは違って他企業向けに放射線の測定を行っていました。また、NPOアースウォーカーズと何度もご協力いただいています。前日の福島の子どもたち日帰りリフレッシュプロジェクトでもご協力をしていただき、今日はカレーを食べさせていただきました。本当にありがとうございます。ここでは来んねキャンプに来てくれたこどもたちとの再会を楽しみながら昼食をいただいたり、社長の菊池さんのお話を聞いたり、実際にある検出器を使って農産物の線量を測ったりしました。容器に詰めるので白菜としいたけを小さく切ってからそれぞれの線量を測りました。二つとも基準値を超える線量はでませんでした。ここでは水道水などの検査も行っているため色々な場所から採取して過去に検査した水道水が保管されていました。かなりの数がありましたがこれらからもほとんど基準値を超えたものは出なかったそうです。ここで学んだことは自分が大学で学ぶ化学と少し近かったので多く質問をしてしまいました。丁寧な回答をありがとうございました。
今日の最後にスマイルパークほばらにむかいました。来んねキャンプにきてくれたそうくんも加わりみんなで遊びました。ここは一日目に向かったペップキッズ郡山と同じように室内に遊具がありました。ここの遊具はとても立体的で子供を見守る側もとてもおもしろかったです。最後にみんなで遊ぶことができて良かったなぁと思いました。一つ疑問に思ったのが、この施設の外にあったモニタリングポスト(?)のようなものでした。形はモニタリングポストなのですが外見を全て覆われていてその機能が奪われているようでした。これは何のためにあるのか、と少し疑問に思いました。
この日で福島を巡る旅は最後でした。
福島の地に立ったのはたった五日間しかなかったですが、人生の中でも特に濃かった五日間になったと思います。まだすべてを吸収しきれたわけではないですが、少しでも自分の身に変えて、被災地支援へ還元できればと考えてこの文章を書いています。色々な方のご協力を仰ぎながら様々な経験やその思いを聞くことができて本当に良かったと思います。本当にありがとうございました。みなさん本当に優しくて暖かかったことが嬉しかったです。それと同時に前を向いて歩いていたことが今回の旅で一番印象的でした。自分が出会った方々はほんの一部の方でしかないのですが、どの方も一心に未来へ歩を進めていて自分もこの方々の少しでも力になれたなら、と思いました。今回のフィールドワークは今日で終わりですがまだまだ学ぶべきこと・すべきこと・伝えるべきことが自分の中にあると感じました。この気持ちを絶やさずにこれからの日々を過ごし、少しでも復興につなげられたらと思います。
被災地の一日でも早い復興を願って。
宮崎大学 一年
榎戸 雅基
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