2020年6月23日火曜日

Stay Home Project 第13回 廃炉と復興 -トリチウム処理水問題


今回のゲスト講師は小山良太さん、福島大学の教授(経済産業省:多核種除去設備等処理水の取り扱いに関する 小委員会委員)です。



当初は小山さんのトリチウム汚染水の考えを述べてもらい、委員会で海洋流出に積極的に賛成した方にも考えを述べてもらい、高校生たちに考える機会にしたいと思っていました。


しかし、賛成した方々の出演がかなわず、小山さんが政府の委員会の資料を使いながら両論を報告して考えてもらうという機会になりました。


今回は政府や東電の資料からNGOFOEJAPANの資料まで幅広く使い説明されてて、とても多角的に学べたと思います。


また、漁師さんの参加も打診したのですが、実現できない中、相馬市の魚屋さんの中島ストアーの中島孝さんにも最後にスピーチしてもらいました。
小山良太教授には15:3018:00までの参加をお願いしてたのですが、高校生や大学生の質問だけでなく、大人の方々の質問にも丁寧に答えてもらい、質問が途切れるまで時間オーバーの18:45まで参加していただきました。
本当に丁寧にありがとうございました。
感謝の気持ちでいっぱいです。
この文面で伝えるのは長文となり難しいのでダイジェストのNHKが1週間くらい見れると思うので、ぜひ、下記をごらんください。
NHK
福島のニュースのリンク若者ら水の処分めぐる問題学ぶ


小山教授が退出した後も感想交流が盛り上がり、ディスカッションも白熱し、汚染水を流すのはやむなしという方と、流すべきでないという意見が白熱し、とてもいい時間となりました。


参加した学生たちに刺激になったようで、
「今日は本当のディスカッションを見た。相手に合わせるのがディスカッションだとおもっていたけど、しっかり自分の意見を相手に伝えていて、答えはすぐ出ないけど、やりとりが刺激になりました。私たちのやっているのは、ディスカッションではなかったと思います」と学生の感想。


取材した福島民友新聞の記者も
「反対する方々の汚染水がいかに危険かという学習会しか見てこなかったので、今日のような企画はとても新鮮で知らない人たちに知らせていく役割は行政やメディアが担う仕事をNPOがやっているのがとても勉強になりました」と話されてました。



以下参加者のコメントです

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渡辺雅之 
 私は福島県出身ということもあり、このテーマに興味を持って講演会に参加した。しかし、講演会に参加するまでトリチウム処理水問題について全く知らず、福島県民でありながら原発事故関連の問題について知らないということが恥ずかしかった。
 トリチウム処理水問題については、国や東京電力が国民に必要な情報提供をせず、国民的議論もなく一方的に決定事項を押し付けるような形になっていることが問題だといったことが述べられていたが、私は、国や東京電力が国民に知らせようとしたのか、また国民も知ろうとしたのかということが問題だと思った。そして、当の福島県民でさえも知らないのに、国民が知っている状態にするのはとても難しいことだと思った。
 また福島の魚屋さんの話を聞いて、国や政府のやり方が今回のコロナの状況と似ていると思った。それは、国民の補償や賠償がおろそかなまま政策がとられているということだ。例えば、「夜の繁華街にはいかないようにしましょう」と連日呼び掛けることは営業妨害になりかねないが、それに見合った補償はできているのか。お店側の人たちの生活は保証されるのか。
 国は、国民にきちんと補償したうえで政策を行わなければならないと思った。


Sato Taimama 
 小山さん、長時間にわたり、ありがとうございました!オーストラリアより参加させていただきました。貴重なお話を聴くことができ、大変興味深かったです。 感想がなかなかまとまらず、難しい言葉も使えませんし、言葉の誤りなどがあるかもしれませんが、大目にみてください。 福島に住む人の立場に立って考えてみると、(たとえ完璧に他の物質が除去できたとしても)今から大量のトリチウム水を海に流します、と言われて、はいそうですかとすぐに納得はできないと思います。
 今までも流していたから安全だと言うのなら、今まで全く魚に影響が出ていないのでしょうか?そしてこれから流す量を踏まえても、決して影響が出ないと言い切れるのでしょうか?少しでも影響が出るなら、漁業の皆さんはやめてほしいと言うでしょう。では、海洋放出しなかった場合、目の前にあるトリチウム水はどうすればいいのか。他の手段がどこにどう影響するのか、全て一覧にして誰でもわかるようにして、国民投票でもやってくれたらまだフェアかもしれません。
 しかし、国は情報をわかりやすく見せるということをせず、できるだけ国民が関心を持たないように事を進めていくのだな、と思いました。 本当は日本全体の問題なのに、福島漁業だけの問題だと、政府もメディアも思わせようとしています。
 それによって福島漁業関係以外の人々(漁業以外の福島県民含め)の無関心が続き、誰も知らないうちに、トリチウム水が海洋放出され、気がついたら福島の魚が安くなっている。 福島のことに限らず、日本政府は国民の無関心を狙っていることが多いように感じます。
 選挙も、投票率が低ければ低いほど、組織票で有利になる人達がいるというように。 調べても調べても出てこない情報もあるかとは思いますが、出来る限りの情報を自分で取得して、自分ごととして物事を考えることが大事だなと改めて思いました。

 


尾山郁人 
 トリチウム汚染水(今回はあえてこの表記で)を初めて知ったのは、タンク内に他の放射性物質の残留していることが発覚した時期です。その時は、BqとかSvすらろくにわかっていなかったので、どれほど深刻な問題であるか理解しきれていなかったと思います。
 今回は、既に政府や東電から公表されているデータや資料を基に説明したいただき、とても分かりやすかったです。正しい知識がないと、日常とあまりにかけ離れた桁違いの単位の放射線量に出会うと、目に見えない不安も相まって思考を停止させてしまいます。加えて、最終的な安全性に対する線引きは個人それぞれの判断に委ねられることからも、その判断を下すために必要な情報を得られる機会は重要だと改めて感じました。
 本来、公表されるデータや事実そのものは受け入れるべきだと思うのですが、発信者との信頼関係がないと、疑いの目を持たざるを得ないというのが最近感じていることです。意味のある議論を進めていく上でも、トリチウム汚染水の問題に限らず、情報の透明性や発信責任は見直してほしいです。もちろん受け手側の努力も怠ってはいけませんが。
 東電の海洋放出に踏み切った場合の放出量ごとの必要年数等をまとめたグラフの見方は注意が必要だと感じました。22兆ベクレル/年(従来の10倍量の排出量)で流し続けても放出完了に40年かかると示されていましたが、総量860兆ベクレルはこのたった9年間で溜まったタンク内の水の放射線量にすぎません。次の10年間に溜まった分はどうなるの?とか素朴な疑問を抱きつつ、不都合な事実をできるだけ隠して、丸く収めようとするやり方に嫌気がさしました。 高校の時にこんな企画が欲しかったなとつくづく思います。
 高校時代は、情報収集の段階から一人ですることが多かったので、文献や書籍を読み漁ったり、講演会に参加したり、時には、○○電力の原発見学ツアーに参加したり、、、できるだけ中立の立場で震災の問題を捉えるようにしていました。今の社会には若者の声を支えるだけの枠組みが整っていないように思いますが、アースウォーカーズに関わっていると行動を起こせるんじゃないかって思えます。若者を支えてくれる大人がいてくれることに本当に感謝の気持ちしかありません。
 今回は、憧れのお二方にお会いすることもでき、言うことなしの4時間30分でした。これまで漠然としか問題を捉えられていなかったので、新しく学ぶことが多く勉強になりました。ありがとうございました。


遠藤日南子 高校1  
 トリチウム汚染水について知れたことは、いろんな意味で大きな判断材料になったと思います。  処理水を海に流したいという話は前から聞いたことがあったのですが、その裏側に漁業関係者の反対の声があることは知りませんでした。
 ディスカッションの際に「処理水を海洋放出するのが安全ならば、東京湾や大阪湾に流すことだってなんの問題もない。なぜ福島県付近の海に流すのか。」とおしゃっていた方がいらしゃいましたが、本当にその通りだと思いました。なぜ原発事故によって福島県の方や福島県周辺の方が困ってばかりいなければならないのか不思議でたまりませんでした。 
 また、情報提供者は自分に都合のいいようにうまく書いている可能性があるということを改めて感じました。政府や企業が全て都合のいいように書き換えているわけではありませんが、本当にそれが正しいのか前提を疑う必要があると感じました。 
 とても面白い講座をありがとうございました。

 

編集者のコメントです。
 災害は、必ずとも目に見える形あるものではないと知りました。目に見えるということは、認識されやすいことです。今回聞いた話の中にあったのは、当事者にならなければわからないことばかりでした。その場にいないだけで、ここまで認識が変わってくるのかと驚かされました。
 解決すべき問題は、社会の形が変わるたびに出てきます。それらを無視することほど、幸せなことはありません。気づいてしまったならどうにか行動を起こさなければなりません。今回は、現場にいる方の生の情報が聞けたので、深く考えるきっかけとなりました。
 ありがとうございます。

編集:宮崎大学農学部森林緑地環境科学科 2年 相原直生

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